「駅の歴史はホームで知ろう」――これは、鉄道マニアの友人のアドバイスです。
なるほど、ホームの断面を見ると、まるで地層のように、さまざまな素材が積み重なっているのがわかります。八王子駅や高尾駅という歴史ある駅の最下層は、たいてい煉瓦。赤茶けた煉瓦建築は明治時代を感じさせます。
八王子に煉瓦工場「八王子煉瓦製造会社」が設立されたのが1897年のころ。場所は長沼。湯殿川を渡った北野側に渡った一帯でした。工場からは甲武鉄道まで引込線が引かれていて、その遺構は京王線の車窓で一瞬見ることができます。
なぜ、長沼に煉瓦工場が造られたのでしょうか。それは、今の都立長沼公園のあたりで材料となる粘土がたくさん採れたからです。
しかし煉瓦も関東大震災で耐震性が疑問視され、しだいにコンクリートに取って代わられるようになりました。この動きに呼応するように、1934年に工場（当時は大阪窯業八王子工場）は閉鎖されました。
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