「湯殿川」散歩 第1回
湯殿川は、私の大好きな散歩道です。
歩き慣れた道ですが、季節や興味の移ろいのなかで、新しい発見があるものです。
今回は秋晴れの10月中旬、秋の気配濃厚の湯殿川でした。
湯殿川と聞いて連想するのが「湯殿山」。
いわゆる「出羽三山」の一つで、修験道の霊場として知られています。
八王子の湯殿川と出羽の湯殿山、さすがに関係はないでしょと思っていましたが、じつは関係があったから驚きです。
1062年の前九年の役に従軍した横山常兼が湯殿山に詣でたところ、その霊験をもってして敵将を討つことができました。
その際、常兼は湯殿山から拝領した大日如来像を持ち帰り、領地の現在の「館町」に大日堂を建立して安置しました。
これにちなんで「湯殿川」と命名されたというのです。
さて大日堂ですが、当初は、現在の拓殖大学の奥あたりにあったそうですが、その後、龍見寺に移されました。
東京都重要文化財に指定された大日如来像ですが、今年(令和5年)の10月31日に特別拝観ができるそうです。ぜひご尊顔を拝んできたいと思います。
桑畑の面影と風前の灯の水田
古地図を見ると、湯殿川沿いには、あたり一面、桑畑でした。
「桑都・八王子」を支えていたのは、この界隈の桑畑だったことがよくわかります。
当時の湯殿川は蛇行していて、川幅も狭かったために、たびたび洪水を起こしました。
改修工事は、戦前の1940年に始まり、完成したのは2009年。
法面の新しさ具合から、最後の工区は、医療センター裏手の上館公園あたりだったものと思われます。
こんにち、桑畑はすっかり姿を消しました。
畑地はだいぶ残っていますが、水田となると、小比企町にほんの少しだけです。
稲刈りのシーズンも終えて、今日は、稲架掛け(はさがけ)を見ることができました。
こういう景観は、いつまでも残っていてもらいたいものです。
この時期、湯殿川は、セイタカアワダチソウの黄色が目に眩しいです。
セイタカアワダチソウは、外来植物で、明治時代末期に北米からもたらされました。
当初は、園芸目的だったということです。
これが敗戦後、アメリカからの物流の流れに乗って大繁殖。
セイタカアワダチソウは、異常に繁殖力が強いのです。
さらには、アレロパシーという物質を出して、周囲の植物の成長を阻害することもわかり、「要注意外来生物」に指定されるようになるなど、昭和中期以降、社会問題とされるようになりました。
とりわけススキへの圧迫がひどく、その生息域を、どんどん侵食していきました。
ところが、ススキもしだいに抵抗性を高めてきて、いまではセイタカアワダチソウと「馴化」しつつあると、作家・五木寛之さんがエッセイに書いておられました。
調べてみると、北米では逆に、ススキが「侵略的外来種」として猛威をふるっているとか。植物同士の攻防を思い起こしながら、セイタカアワダチソウとススキを眺めてきました。
金木犀の香りも、まだまだ残る湯殿川。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。