こんにちは。住まいる相続相談室、相談員の清久です。
「うちは子どもたちの仲がいいから、相続でもめることなんてないよ」
ご相談の現場でも、そう笑顔でお話しされる方は少なくありません。
家族の仲が良いことは本当に素晴らしいことです。しかし、いざ相続が発生すると、それまで円満だったご家族の間でも意見が分かれ、関係がぎくしゃくしてしまうケースは決して珍しくありません。
その大きな原因の一つが、「誰がどの財産を引き継ぐのかが決まっていないこと」です。
遺言がないと、不動産は「分けられない財産」になりやすい
遺言書がない場合、遺産をどのように分けるかは原則として相続人全員による話し合い(遺産分割協議)で決めることになります。
預貯金のように数字で均等に分けられる財産なら比較的スムーズに進みますが、不動産は簡単に切り分けることができません。
【例えば、ご実家を相続する場合の意見の食い違い】
- 「生まれ育った実家にそのまま住み続けたい」
- 「管理や維持費が大変だから、売却して現金で均等に分けたい」
- 「家は譲るけれど、その分の金銭的な代償(相続分)はほしい」
決して誰かが意地悪をしているわけではありません。それぞれの生活環境や家族構成があるからこそ、話し合いが難しくなってしまうのです。
「家族仲が良いこと」と「利害が一致すること」は別
相続が始まると、お金や不動産という現実的な問題に直面します。
- 親と同居して介護を担ってきた方
- 遠方に住み、仕事や家庭の事情で頻繁には帰省できなかった方
それぞれの立場によって、親に対する思いや貢献への考え方は異なります。相続が起きてから「親は本当はどうしてほしかったのだろう?」と残された家族だけで悩むのは、想像以上に大きな心理的負担となります。
生前に本人の意思が明確に残されていれば、それが家族にとって迷いをなくす大切な「道しるべ」になります。
遺言書は「資産家のため」だけのものではありません
「遺言書はお金持ちが作るもの」というイメージを持たれがちですが、実際にもめやすいのは「主な財産がご自宅(不動産)のみ」というケースです。
「この家を誰に残したいのか」「売却して代金をどう分けてほしいのか」といった意思を元気なうちに整理しておくことは、財産の行き先を決めるためだけではありません。
残された家族が判断に迷わず、余計な負担や不必要な争いを抱えないための「家族への思いやり」そのものです。
不動産をお持ちの方こそ、元気なうちの早めの準備を
相続が発生してからでは、ご本人の本当の意思を確かめることはできません。
「あの時、きちんと聞いておけばよかった」と家族が後悔しないためにも、元気なうちから話し合いや準備を進めておくことが大切です。
不動産は、万が一のことが起きてから「どうする?」と慌てるのではなく、元気なうちに「どうしたいか」をご家族と共有しておくことで、大切な資産と家族の絆を守ることができます。
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